赤外線

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躓き、桜の木の根に顔をぶつけ泣き出したその子。 顔を上げると額からは血が流れていた。 急いで父親を呼びに図書館に走った。 それはそれは懸命に走った。そして父親を見付けて大声で「おとうさん!死んじゃう!」なんて叫んだらから周りはグワッとこっちを見た。 だけど父親を連れて戻った時には桜の木の下には誰もいなかった。 俺にとって苦く、寸秒で終わった初恋だった。
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