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俺達は後ろを見ることなく、ただひたすら走り続ける。
「へへ、マル」
「あぁ!?なんだよ!」
「楽しいな」
「楽しくなんかねーよ!」
こんなピンチでも笑っていられるマサキが正直羨ましかった。きっと俺みたいな平凡とは違って、こんな追いかけられるようなことには慣れっこだったんだろう。
「マサキでいいよ。これからもよろしくな、マル!」
「冗談じゃねえよ!俺は二度とこんなことごめんだからなぁ!!」
「何言ってんだよ!これからも仲良く楽しくやっていこうぜ!」
「だったら今は逃げることだけに集中しろ!!」
これが俺とマサキの出会いだった。正直俺はあの時の自分の軽はずみの行為に頭を悩まされたし、軽く後悔もしている。
性格の合わない俺達だけど、なんでかこいつとは気があった。もし神様がこの世にいるとしたら、よく分からない巡り合わせをさせてくれたもんだ。感謝はしないが。
結果的に俺達は逃走してから三十分後に先生達に捕まり、こっぴどく怒られた。まあ当然のことだ。
俺達は仲良く謹慎処分を喰らった。退学にならなかった方が奇跡だと思い、俺達は素直にその処分に従った。
踏んだり蹴ったりの青空月光部の初活動。まあ、結果オーライということにしておこう。
多分この先吐き気がするほどロマンチックなことなんて、一生ないと思う。
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