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口調変わりすぎだな。
猫被ってたって事だよなつまり。
苦笑いしか出ない俺様の前にセリアが持っていた俺様の翼がドサッと音をたて置かれた。
魔方陣の効果なのか翼は消えた。
ふいに、セリアは膝をつき俺様と視線を合わせた。その瞳は何処となしか哀しげだが…本人はそんな素振りはしない。
自分でも決して気付かない。そんな傷を抱えてるんだろうな…
セリア「人を弱い様に解釈しないでいただきたい」
リュオン『なら心ん中読むなよ』
セリア「そんな口を叩きますか?
今、この状況で」
手袋越しに俺様の首筋をなぞるその長くスラリとした指。そしてゆっくりと、顔の横に顔を近付ける。
耳に吐息が掛かる。
やべぇ…
何考えてんだ俺様は!
セリア「さて……どうしましょうね。
まぁ、貴様が望む様な展開は無いですがね…」
リュオン『ッ……アンタさ、焦らすの得意だろ…』
セリア「どうでしょうね」
ガリッと耳に入った音。
セリアが俺様の耳を噛んだ音だ、しかも思いっきり噛みやがったから血の匂いがしてきた。
ツツッと垂れる血を舐めとるセリア。
この両腕の奴邪魔だマジで!!
何だよコイツ、エロいんだけど。
セリア「とんだ馬鹿猫ですね。
こんな状況下でまさか欲情ですか?」
リュオン『うっせー。
猫は毎日発情期なんだよ、早くアンタを組み敷きたくてウズウズしてんの』
セリア「……口が悪いですね」
──パシンッ
リュオン『っつ…』
平手打ち。
女々しい事をしてくれる。
セリア「仕置きですね」
リュオン『ぐ、あ゙ッ……!!!』
油断大敵とは正にこの事。
いきなり痛みが走る。
視線をずらし見てみると何処から取り出したのか、銀の刃物。下っ腹に深々と突き刺さる。
セリア「…ククッ」
リュオン『……ッチ…』
更に抉り出す様に動く。
歯を食い縛り痛みに耐える事しか今の俺様には出来ない。
やがて銀の刃物が抜かれた。
傷口からは出血、刺さったもんは抜かない方が良いとは良く言ったもんだ。
リュオン『……』
セリア「止まりませんね、中々」
リュオン『誰がやった…ん、だよ』
そう吐き捨てると、血がベットリ付いた刃物を俺様の目の前にちらつかせ笑みを浮かべた。
セリア「次は……何処にしますか?
その顔か、目か…首を軽くなら死なずに済みますかね…」
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