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三田村君はみーたというあだ名を、そのままハンドルネームに使用しているので探し出すのは容易かった。
彼が発言している過去ログをさかのぼる。
そして見つけた彼の書き込みがこれ。
投稿されたのは四日前か……。
みーた君が行方不明になった時と被ってる。
「ただいまー。ん? 詩穂、なに見てるの?」
パソコンの画面に集中していると、いつの間にか外出していたあたしのお姉ちゃんが帰ってきた。
「詩穂ちゃん、お土産買ってきたよ。いるか?」
お姉ちゃんの彼氏、五木さんも一緒だ。
いつもにまして念入りに化粧してると思ったら……
なんだ、デートかよ~。
あたしは休日をはたいて、テスト勉強の為に図書館通いだってのに……。
残念ながらあたしには彼氏はいない。
お姉ちゃんには格好いい彼氏がいるって見栄を張ってるけどね。
いいもん。
あたしはまだ高校生だし。
今からよ、今から!
「どうした? 詩穂ちゃん、お土産いらないのか?」
いつの間にか五木さんが、あたしの顔を不思議そうに見ていた。
「あっ、いる! お土産いるーっ!」
憂さ晴らしをするかのごとく、あたしは五木さんの腕に提げられた袋を乱暴にひったくる。
五木さんは驚いたらしく、糸のように細い目を大きくした。
「よっしゃっ! クッキーじゃん!」
あたしは五木さんのそんな様子に構うことなく、クッキーを口の中に放り込んだ。
「こらっ、詩穂! まず五木さんにお礼を言わなきゃ駄目でしょ。それに何なの、その態度は!」
いつものようにお姉ちゃんに怒られた。
ちえっ……。
面倒くさいなあ。
まったく。
お姉ちゃん、五木さんの事になると熱くなるんたから。
以前とはえらい変わりようだよ。
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