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調子にのったあたし。
腰に手を当てながらお姉ちゃんを指さす。
「ほら! 次はお姉ちゃんの番。五木さんの名前何だっけ?」
「ちょっ……詩穂っ」
顔を真っ赤にしたままで慌てるお姉ちゃん。
立場逆転じゃん。
ケケケ。
こりゃ最高!
「霧島さん、あ、いや……弥栄。俺からも頼むよ。俺の名前呼んで? 隆志って」
五木さんがお姉ちゃんに詰め寄る。
「た…たたた……たか」
口をパクパクさせながらお姉ちゃんは視線をあちこちにさ迷わせる。
「さあ、霧島さ……じゃなくて弥栄。俺の名前を呼べ! さすれば俺がご褒美に君を抱き締めてやろう。君が愛する男による愛の包容だ」
調子に乗った五木さんはお姉ちゃんのパンチをくらった。
もちろん本気じゃないだろうけど五木さんは痛そうだ。
「なんでそんな上から目線なのよっ! もういい。五木って呼び捨てにしてやるんだから」
「五木、か。……いいよ、今はそれでも」
五木さんは嬉しそうにクスッと笑った。
なんだかんだいっても二人は仲が良さそう。
こんなお姉ちゃんを見られる日が来るなんて。
あたしも嬉しいな。
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