何も変わらない筈だった日常。

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「……このスクランブルエッグとやら、味が薄い。 もっと甘くしてくれ」 今日の朝食は、焼き立てのパンにスクランブルエッグ、ベーコンに野菜…… 味付けも決して薄いことはないのだが、エステルには物足りないのかいつも味のことで物申している。 その言葉をシェフに伝えるのはリリアの役目で…。 「え?もっと甘く…? 面倒くさいなぁ、もう砂糖大量にぶっかけちゃいなよ。」 「えぇっ…?! お願いしますよ、エステル様がお待ちなんです!」 面倒くさそうに溜め息をついたシェフ、エリオット。 栗色の短髪に、タレ目、ヨレヨレになったシェフ服を着ている。まだ年は若く、最近まで戦場の最前線で戦う兵士だった。 ゾロアスター精鋭部隊の奇襲を受けたとある国の部隊に所属しており、上司共々捕虜として城にやってきたが、人手が足りなかったのか料理が得意と仲間内で評判だった彼はシェフとしてここに迎え入れられたのだ。
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