何も変わらない筈だった日常。

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「……おいおい、この城簡単に乗り込めたな。」 燃えるような赤の長髪を揺らしながら、不精髭を生やした男が呆れたように呟いた。 「そうですね、クラウス様。 悪魔って不用心なのでしょうか……。」 クラウスと呼ばれた男は、「そうかもしれないな」と鎧を着た男に苦笑いしてみせた。 「さーてと、さっさと国王さんの首をいただいて国に帰るか……」 「………え?」 「……お?」 ばったりと部屋に帰る途中のエステルとリリアに出会ったクラウス。 リリアは見たこともない相手にポカンとしており、クラウスはどう見ても人間のリリアを見てポカンとしている。 お互いに敵と認識するまでに三分はかかっただろう。 「き、きゃぁぁぁっ! 敵ですっ、殺されちゃいます!」 リリアはエステルに飛び付き、カタカタと震えている。 エステルはと言えば、ニヤリと笑みを浮かべてこの状況を楽しんでいるようだ。
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