通達

4/8
前へ
/8ページ
次へ
「いつもご贔屓、有難う。お店の外でも会いません?」  ユキはタエに聞こえるように賢治を誘惑している。タエは一瞬硬直し賢治の返事に耳を澄ませた。 「良いよ」  賢治は無表情のままユキの誘いを受け入れた。タエは胸の奥を締め付けられ苦しくなった。 「じゃあ今夜北街の『湯川屋』は?」  北街の『湯川屋』は居酒屋の看板を掛けた連れ込み宿として有名な店だ。 「8時頃になるが?」 「待ってるわ。2人で飲みましょう」  ユキが勝ち誇った顔でタエの横を通り店の奥に行った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加