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沙里奈はよく病室を抜け出した。
今日も抜けだし、何処へ行こうとブラブラする。
「こんなトコに階段・・・??」
沙里奈は新たな発見をした。それは屋上への階段。
ためらわず、上り始める。
(ガチャ・・・)
「開いた・・・うぁ眩しい・・・。」
少し冷たすぎる風。ぽかぽか太陽。
「寒・・・。戻るか・・・。」
そう言って、ドアノブに手をかけた瞬間だった。
「誰??」
後ろから声がした。・・・違う、上からだ。
見上げると、そこには同い年ぐらいの男の子。
「何やってるの?」
屋上の・・・そのまた上で。
「ひなたぼっこ♪暇なんだよ。お前初めて見るなぁ・・・最近来たの?」
ってことは・・・この子も「長期入院」なのだろう。
「・・・3日前に。ここに屋上なんてあったんだ。」
沙里奈は空を見上げる。
「気に入った?俺、浦賀洋介。よーくんって呼んで。ココ、俺の特等席。」
洋介は来る?と言って、はしごの場所を指した。
「・・・いいの?私、森田沙里奈。すごく良い場所だね、気に入っちゃった・・・かも。」
「かもかよっ。また明日も来る?俺ほとんどココにいるから。」
洋介は小学校の時から入院生活らしい。
いろいろ、この病院について教えてもらった。
あの先生は気をつけろとか、病院の七不思議とか・・・。
「あの日」以来、こんなに楽しいと感じたことがあっただろうか・・・。
沙里奈は久しぶりの笑顔で、病室へと戻った。
しかし、病室の扉を開けたところで、沙里奈は硬直した。
「さり・・・えっと、久しぶり。」
そこには・・・圭汰がいた。
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