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次の日も その次の日も 沙里奈は毎日屋上へ行った。
「よーくんっ!・・・寝てるし。」
その日、洋介は「特等席」でお昼寝中だった。
季節は春。5月になった。・・・あと3ヶ月。
太陽も風もぽかぽかと暖かくなってきた。
「よーくんは・・・退院するのかな・・・いつか。」
「しないよ。」
洋介は寝ていると思っていた沙里奈は思わぬ返答に驚いた。
「よーくんっ!!起きてたの??ごめん、起こした。」
洋介はあくびをしながら沙里奈に笑いかける。
「いーよいーよ。さり来たなら起きてた方が楽しい。」
洋介の笑顔は子供みたいな無邪気な笑い方。
沙里奈はそんな洋介の笑顔が大好きだった。
「そだ、よーくん退院しないの?なんで??」
洋介は暗い顔になる。
「俺、あと5ヶ月だって。親は1年前から知ってたらしいんだけど。昨日言われた。」
沙里奈は、この子も自分と同じなんだと思った。
急に死が宣告されて・・・。
「そうなんだ・・・。じゃぁよーくん。あと5ヶ月しっかり楽しく生きようよ?」
沙里奈は3ヶ月楽しもうと考えていた。あと3ヶ月で死ねる・・・。
これは・・・嬉しいこと。ずっと願っていたこと。
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