後編

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7月になると、微熱が続き、食べ物も受け付けなくなった。 点滴生活がはじまり、沙里奈はまったく動けなくなってしまった。 圭汰は約束通り、毎日沙里奈に会いに来た。 洋介も、自分の調子がいいときは必ず来た。 「さーりっ!って・・・圭汰またきてんのかよ~。彼女さん放って置いて良いの?」 「洋介こそ・・・お前、自分の病気は良いのかよ?」 圭汰と洋介はなにげに仲良くなっていた。 「来て早々言い合いしない!よーくんっ来てくれてありがとね。」 小学校から病院生活の洋介にとって、同世代の友達と喋れるのは嬉しいことだった。 「さり、今日はハキハキ喋れてるじゃん!治った??」 治るわけないのはみんな分かっていた。 だから、少しの体調回復も喜ばしいことだった。 沙里奈は、ほほえむしかなかった。「だと良いんだけどね。」と。
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