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「そう…かな」
私は男を見つめる。
こちらに向けられた、穏やかな笑み。
「うん。だから、仕事を頼みたいんだ」
「…え?」
突然の申し出に、私は目を丸くした。
男は懐から出した携帯と私の携帯を、何やら忙しく操作する。
「簡単だよ。あんたが撮った写メを、俺に送って。1日何枚でもいい。タイトルつけて」
「え…え?何?」
混乱する私に構わず、男は話を進める。
「はい。これが俺のアドレス。…と、これが、仕事の報酬」
そう言うと、男はポケットから取り出したものを私の手に握らせた。
「…え…これ…?」
それはくしゃくしゃの紙に描かれた地図と、マンションの鍵。
「それ、俺が仕事で借りてる部屋。たまにしか使わないから、自由に出入りしていーよ」
「…何で?」
訳も分からず問うと、男はにやりと笑う。
「ベッドで寝れるし、風呂も入れるよ?ちっちゃいけど洗濯機もあるし」
「何でそんな…」
「仕事だって言ってんじゃん」
けろりと言う男の瞳を、私は覗き込む。
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