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忘れるには、深く関わりすぎた…
いまさら、何もなかったことになんてできるはずない。
僕はケータイを握った。
先生と付き合い初めてから連絡をかわしてなかった、所謂まくらともだちってやつに電話した。
町の時計台の下。
12月の夜は、寒い。
クリスマス前で、街はひしめく。
あぁ僕が、ケッコンのことを知らないでいたら、今ごろ林先生と二人であるいていたんだろうか。
ふと、幸せそうに笑う僕らを見た。
幻影だ。
なにせ、僕らは抱き合ったことすらない。
思えば恋人らしいことをしたこともない。
ことごとく、僕の勘違いだったんだと思う。
大きな木にかかる白色電灯が瞬きはじめた。
やさしい、けれど存在感のある色。
「おーいたいた!」
久々に耳にする声だ。
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