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「後悔してるか?」
「え…、」
行為が終わった後で、毛先の少し痛んだ僕の髪に触れてきた。
こいつはただの枕友達とは思えないほど優しい。
最中だって痛くしない。
ずっと気持ちいいかって聞く。
それが余計に、僕を責めるんだけど。
後悔、してないなんてそんなはずがない。
でもすがるものがないんだ。
僕は嘘を吐いて、僕よりだいぶ大きい腕の中でまた泣いた。
抱き締めてほしかったのも、泣きたかったのも、これは本当。
でもそれを聞いてほしかったのは、多分他の誰でもなく、そうなんだろう。
「いつでも連絡くれたらいいから」
帰りぎわ、また僕を責める。
辺りの薄暗い町並みに、まだ人影はない。
触れるだけのキスをして手を振っていった。
僕は、例えばこいつを好きになれたらどれほど楽なんだろう、とか
思ってしまう自分がいた。
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