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「……今沖田さんと遊んでる暇はないんですけど。」
「はは、奇遇だね?僕も君と遊んでる暇なんてないんだ。…だからさ、力づくで謝らそうと思って。」
私は頭を掴んでいる沖田さんを見上げ軽く睨むと、彼はその倍以上の威圧的な視線を容赦なくぶつけてくる。
うわーやっぱり怖い…
てか何で私が謝るの?
私の考えてることが分かったのか、溜め息を溢すとまた沖田さんが口を開いた。
「分かってないなら教えてあげる。初めに僕は“離れるな”って言ったはずなのに、君は今までどこにいた?」
─ゾクッ…
甘い口調に怒りが隠った沖田さんの声色に、全身に鳥肌が立つ。そしてそれと同時に、数分前の記憶が脳裏に浮かび上がってきた。……うん、確かに言ってたね。
「さぁ君に選択肢をあげるよ。僕に“謝る”か、それともこのまま─」
グググ…
言い終わる前に沖田さんは手に力を込める。その瞬間痛みが頭を襲った。
「痛い痛い痛い!!頭が割れますって!!土方さん助けろバカッ!!!」
「総司、一生帰ってこれないように井戸に沈めろ。」
「はい、副長。」
「いやバカは言い過ぎました!!バカ三…いや何でもありませんすいませんでしたぁぁあ!!」
両手をぶんぶんと振り、全身で謝意を伝えようとしたけど、土方さんの鬼の形相は変わらない。むしろ般若のようになってるし…。
「で、何なんだ?俺の名前を叫んでいただろ。」
ふと土方さんがそうぶっきらぼうに呟き、沖田さんに目で止めるように指示をする。そのおかげで私の頭は、痛みから解放された。
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