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「お前はっ…何を考えてる、んだ。」
殴ったとこが痛いのか、土方さんの声は震えていた。けれど土方さんのオーラは変わらない。
「土方さんが素直に教えてくれないからですよ…。悪いですけど、私も今は土方さんと同じ“鬼”なんで。」
「雪原……」
「それに鬼と本気で喧嘩出来るのは、鬼だけでしょ?あ、あと私は新撰組の皆さんにとって不利になるようには動きませんよ。近藤さんのこと好きですもん。」
土方さんだけに聞こえる声で、半分事実で半分嘘の言葉を笑顔で並べる。サラッと言えるそんな私が少しだけ怖く感じた。
「まぁ、言えないなら仕方ないですね─」
「拷問にかけ、斬る。」
……え?
「お前があいつとどう関わりがあるかはもう聞かない。だが何かあるなら終わらせてこい、それから新撰組は動く。……俺も同じ“鬼”が嫌いな訳じゃねぇ、だが今回だけだぞ。」
小声だけどはっきりとそう言い切る土方さんは、どこかかっこよく見えた。いや…元からかっこよかったね。
「副長、人斬り以蔵を見つけました!!」
かっこよく見える彼に返事をしようとした時、以蔵さん発見の報告が入った。必然的に緊張が走る─
「原田の隊か、 では原田にこのまま人斬り以蔵を泳がせるように伝えろ。その代わり手は打つと。」
「っ!?副長、それでは─」
「いいから伝えろ!!副長命令だ。」
「……はっ!!」
報告に来た隊士は動揺を隠せないまま、もと来た道を走っていく。そして横目で土方さんは私を見た後、私にだけ聞こえる声を出した。
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