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「………薄い。」
「土方さんの茶葉、なかなか色が出ないんですもん。……文句言うなら自分で入れろ、馬鹿三(ばかぞう)。」
「今何て言った?切腹させてもい─」
「歳三様、お茶のおかわりはいかがでしょう?」
「……………」
あれから屯所に帰るとすぐ土方さんに呼ばれ、お茶を淹れさせられ、今は文句を言われている。つか何で私よりも早く帰ってるの!?
「……しかし何故こんな早くに帰ってきているんです?あの状況ならまだ残っていた方が─」
「茶の一つも満足に淹れられない奴に言われたかねぇよ。……俺にだって色々あるんだ。」
……色々、か。
土方さんらしくない暗い顔をしているのが気になるけど、今はそっとしておいた方がいいかな。
「で、私を呼んだ理由は何です?ただお茶を淹れさせるためだけじゃないんでしょ?」
私は話を変えようと、そう尋ねてみた。まぁお茶を淹れさせるためだけとか言ったら、ぶん殴るけどね。
「あぁ…、ちゃんと絶ちきってきたのか…?」
さっきの暗い顔はどこへやら、土方さんの瞳にはいつもの鋭い光が宿っていた。
「絶ちきってきましたよ。鬼ですからね、私。もう…大丈夫です。」
「そうか…。」
うん、きっと大丈夫!
今はそう信じよう…。
そう自分に言い聞かせた時だった─
「あ、山崎から聞いたか?お前を山崎の弟子にす─」
「何で私が弟子なんですか!?しかも山崎さんの!!」
そうだよ、まだ問題が残ってたんじゃん!!
私は思わず土方さんにすがり付いていた。それはもう思い切り。
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