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「無言で追い出すとか─」
「あら?愛ちゃんじゃない。副長さんに呼びだされたんやね。」
───え…
「ちょうどいいわぁ!!愛も一緒にどお?」
私は声がした方へ振り返るとやはりお雪さんとお梅ちゃんがいた。
「2人揃って何やってるんですか?お夏さんは─」
「あぁあの人はこんて!!興味ないてはっきり言われたから。」
私の言葉を最後まで聞かず、お梅ちゃんが私の手をぎゅっと握る。私は2人の顔を交互に見つめたが、何をしているのかさっぱり分からない。
「ふふ、今からね永倉さん達のもとに行こうと思ってるの。」
「まぁ目当ては幹部より隊士なんやけどなぁ!!」
まるで学校のアイドルを見に行く女子高生のようなテンションの2人を、私はただぽかんと見つめていた。隊士さんに会いに行くのは理解できた、でも“何故”行くのかやっぱり分からない。
そんな私の考えが分かったのか、お雪さんが言葉を付け足す。
「愛ちゃん〈男色〉というのは知ってはる?」
男色……?
男色といえば現代でいうホモだったはず …でもどうして今男色が出てくるのだろう?
「実はね、最近永倉さんの隊士の中にそういう人達がいるというのを聞いたの。だから永倉さんに頼んで1週間隊士さん達の世話係させてもらおう思うてね。」
「藤堂さんのとこも頼む予定なんや。やから愛も一緒にやろー♪」
………つまりさ
ホモが見たいから、わざわざ幹部に頼みに行こうとしているわけ か。
正直に言うと、同性の恋愛は悪いことじゃないと思う。でもはっきり言って見たいとは思わない…。
私は少し躊躇いながらも、ゆっくりと口を開く─
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