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「私もね、死にたくはありませんよ。隊士達がどのように成長するのか見ていきたいし、総司や藤堂君と沢山話もしたい。永倉君と原田君の色町の話も面白いから聞きたいな、あと源さんとも。」
山南さんの楽しそうな言葉は最後近藤さんと土方さんにまで続いた。そして少しだけ間を置いて…
「あなたとも、もっと沢山話したい。実を言うとあなたが部屋に来てくれた時、凄く嬉しかったんです。色々したい話がありますからね。でも、表面ではあなたを拒否するかのような言動…、本当にすみません。」
だんだん日が落ち暗くなる部屋で、彼は深く頭を下げた。でも私にとってはそんなことよりもどうしてもっと早くこの人と話をしなかったんだろう、という思いが渦巻いていた。
「…頭を上げてください。私も実を言うと、あなたが苦手でした。」
「…………はい?」
うん、このさいだ。言ってやろう。
「というか本当に部屋が汚いです!!自暴自棄になってもここまでならないでしょう!?総長として何かする前に人として掃除したらどうですか!!?……こんな部屋のままでは来ませんから、私。」
言いたいことを言えてか、心が少し軽くなった気がした。本当は他にも沢山あったけど、それはまたゆっくりと話す時のために置いておこう…。
「ここまではっきりと言う人はあなたが初めてですよ。土方君でもここまでは…いや、素直に掃除しますよ。またお茶を持って話をしたいですから。」
そう言って周りを見渡す山南さんが、少し幼く見えた気がする。 そして不意に目があってどちらからともなく笑いあった。
「一君、愛ちゃん見なかった?羽織の約束、忘れちゃったのかなー。」
「私も探していた。お夏さんに雪原を見つけてこいと言われたんだが……、羽織の約束とは何だ。」
廊下からあまり聞きたくない会話が…
「君は忙しい人ですね。…私の見た所、総司に斎藤君、藤堂君は君のことが─…いや面白いから言わないでおきましょう。」
「いやいや、何が面白いのかわかりませんから!!…沖田さんの羽織洗うの忘れてたなー、それにお夏さんは夕食の準備……私も逃げたいかも。」
どちらも怖いなぁ…、いやまだお夏さんの方がましかもしれない?
私は終わりの見えない自問自答(?)を繰り返した。
「あははは!!君は本当に忙しいのですね。 じゃあ助け船を出しましょうか。」
……………助け船?
そう言って山南さんは、ニコニコしながら廊下へと出ていった。
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