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「終わったーー!!」
私は並べ終わった食事を見て、その場に座り込んだ。
山南さんにお礼を言って別れた後、お夏さんに泣きたくなるほど怒られ罰として食事を一人で運ぶようにいわれて……今に至る。
「この後は沖田さんの羽織か、……なかなか落ちない気がするんだよなー。」
「……雪原。」
大きな独り言を呟いていた時、聞き慣れた声が私を呼んだ。…この声は斎藤さんだ。
「お待たせしちゃいましたか?今並べ終わった所なんで、どうぞ座ってください。」
私はそう言って立ち上がろうとした時、細くて固い指が私の髪に触れた。そのままその手は私の頭を優しく撫でてくれる。
「どうしたんです?斎藤さん。」
「……これは迫っているわけではないからな。」
「………はい?」
耳まで真っ赤に染めながらも撫でる斎藤さんの言っていることがいまいち理解できないまま、2人目が部屋に入ってくる─
「愛ー、準備ありがとな!…ってあーー!!!一君何やってるんだよ!?」
………そう、平助君。
「何か久しぶりな気がするね、平助君。斎藤さんももう恥ずかしいんでいいですよ。」
「……そうか。」
名残惜しそうに離す斎藤さんの手を、平助君は睨むように見つめていた。私としては2人とも何がしたいか分からない……。
これ以上ややこしくならないためにも、一度台所に帰ろう。
「じゃあ私は一度台ど─」
「いやー、腹が減ったなぁ!!」
「新八、さっき饅頭食ってただろ?お雪さんにデレデレしながら。」
………何でこの人達は、タイミングっていうものを考えないかなぁ。
でもこんなことで負けません!誰に何と言われようと立ち去ります、風のごとく。
「お!愛ちゃん、今日もありが─」
「どういたしまして、永倉さん!では私はこれで!!」
私はお盆を持ち、急いで部屋から出たのだった。
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