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近藤さんがお菓子をくれたからか、気が重かった沖田さんの所へ行くのに私の気分は上がっていた。
「おーきたさんの羽織を あーらいーましょー♪」
歌も歌ってしまうほど、今の私はルンルンです!!!
「へぇ?随分ご機嫌だね。僕との約束を忘れてたくせに機嫌いいとか、斬りたくなるよ。」
………やっぱり下がった。
というか私まだ障子開けてないよね?声さえもかけてないよね?なのに─
沖田さん自らの出迎えとは…
「やっぱり無駄に勘がいいですよね…。それに“斬る”とか言っちゃ駄目ですよ、沖田さんのは冗談に……本気か。」
私は刀に手をかける沖田さんを見て、本気だと悟った。…ここは話題を変えようかな。
「沖田さんは食事に行かないんですか?皆もう揃ってると思いますけど。」
私は平然を装ってさりげなく沖田さんを食事の方へ…と思ったんだけど、 何か沖田さんの反応がおかしい。
少し恥ずかしそうに頬を紅く染めて、視線を反らす沖田さん…。おかしいどころか怖い!!
「…広間へ行くと君に会うから。君に会うとまた迫るかもしれない、でもそれだと一君に負ける。それは嫌だから…。」
……………はい?
「あの、少女漫画みたいな空気が流れてるとこ悪いんですけど、全く話の意味が分からないですから。」
「………鈍感。」
沖田さん、聞こえないように呟いたのかも知れないけど、聞こえてます。
「とりあえず食事に行ってください、その間に羽織洗うんで。………あ、そうだ。」
私は大事に抱え込んでいた袋の存在を思いだし、広間へと行こうとする沖田さんを止めた。
「近藤さんに金平糖を沢山貰ったんで、半分あげます。それに沖田さんのお菓子食べちゃったし、私。」
そう言って沖田さんの大きな掌に沢山の色鮮やかな金平糖をのせた。きょとんと彼はしていたが、不意に優しい笑みを浮かべる。
「ありがとう、大事に食べるね。……僕が広間から帰って来ても、君はここにいる?」
少しためらいながらも優しい声で沖田さんはそう尋ねてきた。
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