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「うーん…正直言って分からないです。」
「……だろうね。でももし良かったら─」
「愛っ!!」
沖田さんが何か言いかけた時、いつからいたのか平助君が遮った。そしてそのタイミングの悪さにか、沖田さんは不機嫌そうに顔をしかめる。
「何か邪魔したか?飯食いに行こうって言いに来ただけなんだけど…?」
平助君は無邪気にニコッと笑う。そんな平助君とは逆に、沖田さんの表情が黒くなり…!?
「おおお沖田さん!!?何か目から凶器出そうなくらい、目が怖いですよ…?」
「ははは、冗談きついなぁ。僕の目が怖い訳ないし、むしろ優しいでしょ?」
……“否定したら斬る”、そう目が語ってるよ?優しい目と言いつつ斬るぞオーラ出てるとか、あり得ないでしょ!!?言ってる事としてる事が逆─
「愛ちゃん?そんなに斬られたいの?」
「……いえ、斬られとうございませぬ。」
「そう、別に僕は愛ちゃんが斬られたいなら、一瞬で終わらせてあげてもいいから。」
うわー…、目が本気だ。 というか…あれ? さっきから平助君の笑顔が消えないんだけど。いや、別におかしくはないけど……なんか─
「あはは、総司。冗談止めないと、俺はお前を斬っちゃうよ?」
…………はい?
「恨まないでな?まぁ別に恨まれたら恨まれたでいいけどな。俺は気にしねーし。」
淡々と話す平助君は、目がどこか遠くを見ているようだった。それはまるで……
──“病んで”いる
「へぇ、それが本性?」
可愛い顔で病んだ瞳をした平助君と、怖くなるほど綺麗で真っ黒な笑みを浮かべた沖田さん…。まさかこんな展開になるなんて全く想像もしなかった私は、微かに自分が震えているのを感じるしか出来ない。
「………もうよせ、雪原が怖がっている。」
不意に後ろから聞き慣れた声が、この空気に終止符を打ってくれた。
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