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ピエロ面は続けた。
「安心させることとは別問題? なんてバカなことを。アナタは“愛”無しに他人を愛し、安心させることが出来るのですか?」
「……出来ますよ!」
「出来たとしても、それは愛じゃないですよ。絶対に長続きしない。断言しましょう」
さっきから何が言いたいんだ。俺はいい加減頭に来た。だが、続けたピエロ面の次の台詞に俺は一気に頭が冷える。
「わかりますか? つまり愛を信じられなくなった者が恋愛をするなんてことは難しいってことです。アナタに次の質問です。愛を信じられなくなった者に、アナタはなんて言いますか?」
なんて言うのか……分からない。怒りも消えるほど、頭が真っ白になってしまった。
「私ならこう言います。『俺が、お前に“愛”を思い出させる。それまでは付き合わなくていいから、俺が君の一番傍に居ても良いですか?』と」
いつからこんな話になったのか良くわからないが、ピエロ面のその言葉はなんだか凄く胸に響いた。
「付き合う付き合わないなんてどうでもいい。相手を愛することができ、安心させることができるかが一番重要、ってことですか?」
「さぁ……答えは自分で見つけてください」
ピエロ面は笑い、しゃがんで靴磨きを再開した。
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