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俺は待ち合わせ場所の公園にたどり着いた。そこのブランコに彼女が居て、俺を確認したのか可愛らしく笑った。
「ごめんお待たせ!」
「大丈夫だょ」
彼女は本当にいとおしい。その優しさも、笑顔も、小首を傾げる動作も全部。
だがそれを一方的に押し付けてはいけない。俺はピエロ面からそう教わった。
「……で、こんな夜に私呼び出すなんて初めてだよね? どうしたの?」
「ああ。大事な話があるんだ」
ユラユラとしていた彼女は、俺の真剣な口調に動きを止めてくれた。真面目に聞いてくれるようだ。
「……俺は、君のことがずっと前から好きだった。だから、付き合ってほしい」
言ってしまった。静寂が辺りを覆う。彼女は驚いた表情を見せたが、すぐに俺から目を反らした。
「……ごめん。気持ちは嬉しいけど、私はあなたと付き合うなんてできないよ」
「なんで?」
悲痛にそう言う彼女に、俺は内心動揺しまくりながらも冷静を装って聞いた。
「……嫌われたくないから……言いたくない」
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