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5分ほど経っただろうか。
威勢良く戸が開かれた。
「今帰ったぞー。
おい姐さ─…誰だお前」
整った顔の黒髪の男だ。右手にはキセルを持っている。
さっきの問い掛けは編笠マントに向けられていたようだ。
その時、店の奥から女が出て来た。
「お帰り。
あんたにお客さんだよ」
「仕事請け負い人の京次郎殿だとお見受けする」
編笠マントが口を開く。
「急ですまないが、一つ仕事を頼みたい」
京次郎と呼ばれた男は、だらし無く左肩に掛けた羽織りを直しながら編笠マントの2つ隣の席に座った。
「依頼内容を聞く前に…
笠取って名乗りやがれ。こーゆう仕事は信用第一だからな」
編笠マントは少しの間黙っていたがやがて決心したようだ。
「…分かった。これで良いか?」
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