この人、痴漢です

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俺の名は 『華岡 桃磨朱』 通称 トーマス 出勤のため 只今、満員電車に乗っている真っ最中 毎度のことながら、人混みの中 電車に揺られて早10分 急に俺の腕が掴まれた 「この人、痴漢です!」 若い女性が、俺の腕を頭の上まで上げて 周囲に見えるようにして叫んだ 「えっ!?俺は何もやっていないぞ!!」 とっさのことで面を倉ってしまったが 慌てて弁解する 「痴漢だって、ヤダー、コワーイ」 「あいつか?こんな馬鹿は警察につき出してやれ」 乗客の罵声と冷たい視線が俺に集中する 「だから、俺は何もやっていないんだって!!」 美濃潔白を証明するため 声を張り上げて叫んだ 「痴漢は大抵、そう言う言い訳をするんだ」 それでも、周囲の俺に対する避難は止まらない 「おい、何の証拠があって俺を痴漢呼ばわりするんだ!?」 俺は女性を睨み付ける 「!?」 女性はオロオロと回りを見たあと つかんでた俺の腕を… 自分の胸へと押し当てた 「この人、痴漢です!!」 え~~~~~っ その車両のみんなが同じリアクションをした 俺と女性は次の駅で降りた 「ごめんなさい、本当にごめんなさい!」 女性が俺に頭を下げている 「もう、謝らなくていいから」 なんとか 誤解は解けたが 疑問が増えた 「どうして、あんな真似をしたんだ?」 「だってあなたが…」 「俺がどうしたんだ?」 「痴漢をしそうな顔をしていたから…」 「謝れ!俺に対して謝れ!!」 「だから、さっきから ごめんなさいって言っているじゃないですか!」 「謝って済む問題か!?」 「わかりました…」 女性は何かを決意したように溜め込む 「私の胸、触っていいですから! 許してください!!」 「本末転倒じゃねーか!」
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