保子という女

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保子は身長百六十八センチ、体重おそらく百キロ超…完璧な肥満体だ。 食べることが趣味で特技で生き甲斐のどうしようもない女、それが保子だ。 春は暖かくなってくるから食欲が増すよね。 夏バテしないようにたくさん食べなきゃね。 食欲の秋だもん。 寒い冬はたくさん食べて栄養つけなきゃ。 こんな風に、食べることを正当化しながら、年がら年中食べている。 保子と一緒に歩いていると周囲の視線が気になって仕方ない。 擦れ違う人がみんな保子を見る。 通り過ぎた後で振り返って笑う人までいる。 でもまぁ、それも仕方ない。 保子は本当にデブだから。 …………………… 俺は今日こそはこの女にガツンと言ってやろうと思っている。 今まで幾度となく言う決意をして言えずじまいだったが、今日こそは本当に言わなくてはならない。 それがこの女の為なのだ。
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