曽上 紀市と利刀 文

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 と、その文の肩に大きな手が乗せられた。 「おい、坊主」  文が振り返ると、とても高校生とは思えない風体の輩が三人程文を見下ろしていた。  見下ろされるのが嫌いな文は、胸を張って精一杯男共を見下す。 「なんだ? お前ら」  高校生か? という言葉を文はぐっと堪えた。男達の顔が思いの外怖くなったからである。基本、文は臆病だった。 「俺達は新入生なんだがよ、まーあんまでかい口叩いてんじゃねえぞ?」  文は吃驚仰天である。このヤクザ崩れの様な男達が同い年だとは思いもよらない事態である。  そしてそんな輩に文は今絡まれているのである。文は正直心が折れそうになった。  だが、無駄に意地を張るのが文である。 「うっせえ! てめーらこそでけえ口叩きやがって! てゆーかいい年こいて高校生のふりしてんじゃねーぞおっさん!」
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