立ち去る君の背中に 印つければ僕だけが分かる

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灯りの点る談話室にいたのは、スクアーロ一人だけだった。 背凭れに細かな装飾の施されたソファに深く腰掛け、手持ち無沙汰に時折足を組み替える以外は、只ひたすらにその双眸は時計の針だけを追う。 きっかりと。長針が一回り半する間。 そうすれば腰を上げ、シュガーとミルクを少しだけ注いだコーヒーを煎れる。今夜は徹夜で仕事をこなす主君の元へ運ぶ為に。
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