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今ので確信したあの声は
きっと、いや絶対手越だ、
「片桐さん、俺…」
「あっ行って大丈夫よ!ごめんね
邪魔しちゃって、」
俺は一度頭を下げて
手越の声がする方へ向かった
でも途中で片桐さんの話しを
思いだして「片桐さんさっきの話って……」 そう言ったけど
聞こえなかったのか、
片桐さんが振り向くことは
なかった
片桐さんの背中はどこか
寂しそうな感じがしたけど
気のせいだろ
そう思い再び俺は走りだした
「…手越!?、やっぱお前だったのかよ!」
部屋に入るとそこには
先生の肩を大きく揺すって
取り乱してる手越がいた
「少しは考えろよな!
メンバー間でのことは何もいわないけど、なんでもない患者さんとかお世話になってる先生に
迷惑かけるのはやめろよ!」
そう言うと手越は先生の肩から
手をどけて腕を力なく降ろした
別に手越の気持ちが分からない
わけじゃないんだ
俺だって先生の胸ぐら
掴んで叫びたいよ…
でもそんなことしたって
どうしようもない、
何も変わらないんだ
それが分かってるからグッと
我慢した
「先生、あの…
ほんとにしげはもう2度と
俺たちの声に反応してくれないんですか?」
正直言うとこの時
俺は凄い震えてた
不安がつのって
軽く恐怖に変わってたのかも
しれない、
先生の眉毛とか目とか
顔のパーツ1つ1つの微妙な
動きとかにも敏感になって
おかしくなりそうだった…
「…本当は親族の方にしかお話してはならないのですが、
あなた達の中で加藤くんがどれだけ大事な存在か分かりました…
本当のことを言います、
実はまだ加藤くんはかろうじてですが…
あなた達の声が聞こえています」
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