数えきれない出会いの中で

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俺の人生そのものが終わった。 そんな感じがした しげと過ごしてきた今までの記憶が走馬灯みたいに頭をよぎっては消えていった… 「……そだ、うそだうそだ!! 治療法がないなんて…そんな、 しげはがんばり屋です だからどんなリハビリにも どんな治療にも耐えれるそんな 奴なんです!しげが元気になれるんだったら俺の臓器とかあげます!なんだってします! だから…だから… しげを治してやってください…」 自分の命を投げだして しげは俺を助けてくれた、 だから今度は俺がどんなことを してでもしげを助ける …そう決めてたけど 俺はほんとに無力だな って思い知らされた 「…小山さん、無理なんです! ほんとに無理なんですよ… 加藤さんは外傷はもうまったく ありませんが、脳の一部を酷く痛めていて今、完全に機能していない状態です……」 先生はゆっくりと俺の目から 視線をそらし深いため息をついた 俺、なんもしてやれねぇ… 助けてあげることもできない しげの未来奪っちまったんだ… 何も言えず 少し開いた口で息をしてるけど 生きた心地がしない でも目からは涙が零れていた ゆっくり頬をつたって 一滴の涙が手に落ちた時 しげの笑顔が頭に浮かんだ 次の瞬間 涙が溢れ出た 記憶の中のしげは 今でも笑ってるのに… その笑顔にはもう… 思い出の中でしか会えないの?
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