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「……しげちゃうわ、俺が言ったんや。あれは桜の木やろ
実家の近くに似てんのがはえとった気がする」
そう言いながら錦戸くんは
俺の横に座ってしげと
同じように外の木を眺めた
しばらく錦戸くんの横顔を
横目に見て俺もまた木に目をやった
「そっか、桜の木なんだぁ…
桜が咲く頃には6人みんな笑顔でいられるといいね。」
「…おん」
「あの木をバックにしげに
写真撮ってもらってさ…」
「……おん」
「……みんなで変顔なんかしちゃって……みっみんなで、大笑い…してさ…」
「………」
楽しいことを思い浮べてたら
涙が溢れてきて言葉が詰まった
しげの笑顔がどれだけ
NEWSにとって大事な宝物か
こういう時に実感する
頬を伝った涙を拭いながら
「ははっ、涙もろすぎだよね」
そう言って錦戸くんを見ると
錦戸くんはいつの間にか
立ち上がって背を向けてた
最初は何をしてるのか
分からなかったけど
よく見ると肩が小刻みに
揺れてた…
「錦戸く「なぁ増田ぁ?…」
錦戸くんはまるで俺からの
慰めの言葉を遮るように
突然喋りだした
「俺、しげが好きや…
せやから…しげには
笑っとって…ほしい、」
錦戸くんは相変わらず
背を向けたまんまだった
「……俺に、俺にできることってなんなんやろ。
…自分が無力すぎて悔しいわぁ」
そう言った瞬間目を赤くした
錦戸くんが一粒涙を零して
こっちを向いた
前に錦戸くんが泣いてた時とは
また違う、強い何か想いが
伝わってくる感じで
胸が苦しくなった…
「…錦戸くん1人が全部抱え込む
必要はないと思うよ
それに時間が経てば何か変わる
俺の怪我だって時間が経てば
治るしっ! だから今の俺達にできるのは信じて待つことなんじゃないかなぁ って生意気に言ってみた 笑」
俺が笑顔でそう言うと錦戸くんは自分の頭を少しくしゃくしゃっとすると突然俺に抱きついて
「…ありがとうな」
そう言うとしげの側へ行って
色々と話しかけていた
その時の錦戸くんの笑顔は見たことないくらいの凄く優しい笑顔だった
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