狩人~滅する者

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「風の愛子、風の守護を受けている子や。言霊で風を操り、自由自在に使える」 「それがミシェルだと?」 「ライト、今まで何を見ておったんや?この子は確かに“言霊”を唱えていたで。それと送魂歌まで」 ミシェルは首をかしげた。言霊、送魂歌?一体何のことだろうか。 「言霊は言葉に力が宿ったものや。それだけで人を殺すこともできる。でも滅多に使えるものやない。送魂歌はその名の通りや。魂を神のもとまで送る」 おばばはミシェルの疑問を見抜いたかのように答えた。ミシェルは心の中を見られたのかと思い、ドキリとする。 「風の愛子は風が武器じゃ。長き時を経れば、火・水・雷・地の守護も受けることになろう。名はなんという」 「ミシェル・ファグナ・ジュリス」 「ミシェル、風の精霊に出会ったことはあるかの」 「精、霊?」 ミシェルは首をかしげた。 「そう。薄い羽を持ち、美しい姿をしているものたちや」 ミシェルは今までのことを思い返す。そして首を振った。 「いいえ、ありません」 「ない、か。それは可笑しいんやけど」 「可笑しい?」 おばばは盲目の目をライトにむけた。 「ライト、守護を受けている者達は必ず精霊に会うんや。ミシェルはそれがないと言っている」 「つまりは?」 「見えてないの。が、精霊は確かにミシェルのそばにおる。ミシェル、心を通わせてみ。必ず見えるはずじゃ」 「はい」 ミシェルは瞳を閉じ、心を落ち着かせた。周囲の音が消え、声が聞こえてきた。
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