創造主~生み出す者

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ピチャンと水の落ちる音が響く。岩から滴り落ちた水滴は岩を削り、小さな池を作っていた。池に誰かが踏み入れ、波紋をつくる。 「“アヤカシ”の母よ。話がある」 黒マントを着た男がそう言った。暗闇の奥で何かが動く気配がした。 「なんじゃ、わらわに用か?」 衣擦れの音がし、気配がそばに近づいた。黒マントの口元が笑みの形になる。 「“愛子”発見とのことだ」 「なんと!それは真かや?!」 声は驚いたように響く。声はそのあと、絶望の色を宿していた。 「わらわの子らが嘆いておる。この世からわらわたちが消える日は近いと……どうするのじゃ」 「“死神”と“堕天使”がいるだろう」 「あやつらは頼りにならん。人に感化されておる。そして出来損ないじゃ」 黒マントの前に妖艶な美女が姿を見せた。白い肌と紅を引いた血色の唇。そして艶やかな着物。 「のう、創造主。わらわは夫殿が欲しいのじゃ」 「すぐにS級はつくれないが?」 「つくってくれるじゃろう?」 「それはかまわん」 美女は黒マントに手を伸ばした。フードを取り去ると、漆黒の髪と鋭い目が見えた。美しい男だ。一見すれば女と見まごうほどに美しい。 「本当はお主が夫殿に欲しい」 男は美女の手を煩わしそうぬ振り払った。鋭い光をたたえた目で女をにらみつける。 「死者の夫になるつもりはない。お前は大人しくオレの命令に従っていればいい」
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