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「お疲れ様、お休みになられたら?」
「いや、報告があるから。その後で休むことにする」
「シェル様、終わったらご本を読んで!」
「レヴィ、シェルは疲れて」
「いや、かまわない」
妻の言葉をさえぎり、シェルはレヴィに微笑みかける。彼がそんな表情を見せるのは妻とレヴィだけだった。彼は椅子に腰掛けた。
レヴィは笑うと自分の部屋へ入っていく。アリーシャは申し訳なさそうな顔をして夫を見た。
「大丈夫だ。明日からしばらくは休みだからな」
「そう」
「“愛子”が見つかったと報告が入った。しばらくしたら出かける」
「どのくらいで戻ってきそう?」
「わからん」
アリーシャの顔が曇るのがわかった。シェルは妻の腰を抱き寄せ、自分の膝に座らせる。アリーシャはシェルを見上げた。
「だが、必ず無事に戻ってくる。お前とレヴィがここにいる限り」
「待っているわ」
シェルはそっと妻に口付けた。立ち上がると家を出て行く。本部へ報告に行くためだ。
「アリーシャ、遅くならないように戻る」
「はい」
アリーシャは戸口で見送る。シェルの背中が見えなくなると家の中へ入っていった。
レヴィが顔をのぞかせる。その手の中には絵本があった。アリーシャとシェルがレヴィのために買ったものだ。
「アリーシャ、ご本読んで」
「はいはい」
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