創造主~生み出す者

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アリーシャとレヴィは長椅子に座った。レヴィはアリーシャの膝の上に座る。 本を開いた。花の姫と鳥の王子の恋の話だった。この本はレヴィのお気に入りでもある。 「花の姫君はそれはそれは美しく、たくさんの花々に慕われていました。また人間や他の動物達からも愛され、たくさんの花をいたるところで咲かせます。 また鳥の王子は空の眷属たちの憧れの的でした。凛々しい容姿の彼に見惚れる姫君たちは数知れず。 ある時、花の姫君が空を見上げると、美しい姿の青年が鷹の背に乗って空を飛びまわっていました。姫君は青年を直ぐに好きになってしまいました。その青年が鳥の王子ということを姫君は後で知ります。 いっぽう王子のほうも鷹の背に乗って、空の見回りをしているときに花々の中で動物たちと談笑している姫君に見惚れてしまいました……レヴィったら」 アリーシャが膝の上のレヴィを見ると彼女はすやすやと寝息をたてていた。アリーシャは本を閉じると小さな体を抱え上げ、部屋のベッドへと横たえる。レヴィの口元には幸せそうな笑みが浮かんでいた。 「可愛い子、愛しい子。レヴィ、あなたは私とシェルの大事な子よ」 優しく深紅の髪に触れ、アリーシャは部屋を出た。
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