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「私のお気に入りのコップが割れてしまった。“死神”、君もひどいことをするねぇ」
“堕天使”は苦笑交じりの声で言った。“死神”の不機嫌そうで、しかも殺気の混じる声もする。
「“堕天使”、オレ達の仕事を覚えているか?」
「もちろん。“アヤカシ”の完全消滅」
「お前はどちらの味方だ?」
「どちら、といわれてもねぇ」
“堕天使”は言われて悩む。どちらの味方にもなりたくない、というのが本音だ。しかし。
「あの少女がいるのなら“天上世界”を私は裏切ろう」
“堕天使”は言い切った。“死神”は長く連れ添った相方の言葉にうなずく。
「それでこそ“堕天使”だ。オレも裏切らなければならないな」
「おや、私に付き合ってくれるのかい?」
「付き合わなかったら、クスリでも飲ませて無理やりにつき合わせるくせに何を言う」
「わかっているねぇ」
“堕天使”は“死神”の言葉に笑う。“死神”のほうからも軽い笑い声が聞こえた。
“堕天使”は手元の写真を見る。プラチナブロンドの少女が映っていた。
「あの子を助けたのに、何故それを言わない?」
「言ってどうするという?」
「召使にしちゃえ」
「バカを言うな」
“堕天使”の戯言は“死神”の鎌によって一刀両断された。“堕天使”は本気なんだけどなぁ、と呟く。
が、“死神”からの殺気を感じると口を閉じた。
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