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ライトは一言そういっただけだった。ミシェルはライトのあとについて城砦内に入っていく。
城砦の中はほとんど何もない、ただそれだけだった。あるものは唯一つ。巨大な城だけだ。
ライトはミシェルを置いて、どんどんその城にむかっていく。ミシェルは急いでライトに追いつく。
「ここで“ハンター”としての登録をする。登録され、仕事をやればそれに見合った報酬も渡される」
ミシェルが追いついたのを見るとライトはそう説明した
。へぇ、とミシェルは思う。つまりここは“ハンター”たちのための役所のようなものなのか。
「お前も登録されれば、住む場所と武器を与えられる。武器は個人の能力に合わせてつくられる。それが一番効率がいいからな」
「ライトの武器はどんなもの?」
ライトはミシェルの問いを黙殺した。ミシェルはむっときてもう一度問う。
「ねぇライトの武器はなに?」
が、今度の問いもライトは黙殺する。それほどまで言いたくないものだろうか、とミシェルは思いそれ以上何も聞かないことにした。
二人は門の前にたどり着く。ライトは小さなカードを取り出し、門の脇にあったリーダーに通す。
赤い色の光がライトに当たる。ライトは不機嫌そうに眉根を寄せた。ピピピッと音がし、機械で合成された声が聞こえる。
「ライト・フォン・ジェルシア、№9852301。確認しました。今回の訪問の目的を」
「新しい“ハンター”の登録申請にきた」
「新しい“ハンター”の登録申請」
声はもう一度繰り返し、今度はミシェルに赤い光が当たる。思わずミシェルは眼を閉じた。
「承認。能力の検査を行いますので、第三修練場までおこしください」
門が開いていく。中に見えたのはごく普通の建物だった。外見はつくりものだったのだ。
ライトは無言のまま中へ進んでいく。ミシェルも門が閉じないうちにと急いであとを追った。
二人は無言のまま長い廊下を突き進んでいく。あたりに人気はない。
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