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ミシェルは頬を軽く叩かれるとうっすらと目をあけた。ライトが軽く笑っているのが見える。
「よくやったな。A級を倒せる“ハンター”なんてそういないだろう」
「A…級?」
「“アヤカシ”のレベルによって分ける。A級はかなり強い」
ミシェルは未だにぼんやりとしていた。
「お前なら合格できる」
ライトはミシェルを立ち上がらせた。
「どこかに行くの?」
「おばば様のところだ」
ミシェルは口を開いたが声が出なかった。ライトはミシェルの体を背負う。
ミシェルは肌にライトの体温を感じ取った。
「すぐにつく」
そう言うと歩き出した。頭でちゃんと物事を考えられないミシェルは何処に連れて行かれているのかさっぱりわからなかった。ただ奥へ歩いていくごとに香の匂いが強くなっていることだけはわかった。
「おばば様、先ほどの試験の」
どこかの部屋へ入っていったライトはミシェルを降ろし、そう言った。
「風の愛子や」
暗闇から現われたのは小さな影。背を丸め、杖をついている。髪は白く、目もまた白く濁っていた。盲目なのだ。
ミシェルはおばば様と呼ばれる彼女の目を見ているとなぜか意識がはっきりしてきた。
「風の愛子?」
聞いたことのない言葉にライトは首をかしげた。おばばは続ける。
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