第零話 似非

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「え…」 目が覚めたらそこは知らないところだった。 なんて、どこかの物語にでも出てくるようなキャッチコピーが覚めきらない頭にぼんやりと浮かぶ むくりと倒れていた上体を起こして、霞んだ視界を数回瞬きすることでクリアにすると次第に意識もはっきりしてきた 「ここ、どこ…?」 さっきまで自分の部屋で寝ていたはずなのに、ここは誰がどう見ても森で。 辺りを見渡してもそれ以外何もない そっか、まだ夢なんだ それなら納得できる。夢にしてはやたら意識がはっきりしてるな、とか、土の感触も風を感じる肌もやたらリアルだなと思わなくもないけど むしろ無理矢理でもそう思わないとこの状況の説明がつかないというか。 夢なら早く覚めて!と頬を痛いくらいにつねってみるけれど効果なし 他にどうすることも出来なくて、若干焦りだした私の耳にガサリと何かが草を掻き分ける音が届いた。
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