いつかのキヲク

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みんなが泣いてる。 空は青いのに、みんなの涙で濡れている。 みんなに愛されていた、 雛が死んだ。 双子の妹の雛。 17歳だった。 -・・・--・・ 『さくちゃん、さくちゃん!待ってよお!』 私は振り向き、笑顔のまま雛が 追いつくのを待った。 昔から運動が得意ではない雛が、息を切らしながら、やっと追い付いたと笑顔を向ける。 私と同じ歳の妹の手を繋いで、 いつもの道を歩きながら雛は言う。 『さくちゃん! ひなとさくちゃんはずっとずーっとずっと一緒だよ! ずっとずーっと!約束だよ!』 その魔法のような、呪文のような言葉が雛の口癖だった。 物心ついた時から、雛が言っていた。 『ずっと』 雛、なんで一人でお空に逝ったの? .
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