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心地の良いソプラノが耳に通る。
コトリと音を立てて、主の手元から僕の手前へ移されるメロンソーダ。
「えっ? あっ……」
「私ね、クリームソーダのクリームだけが好きなの。メロンソーダの旨味が染み渡ったクリームってそれはそれは極上なのよ。でも炭酸はいや。炭酸ガスが体内に進入して中から私を溶かしていく気がして嫌い。だからね、キミにあげる。排水管に流されるくらいならキミの喉を潤す方がこの子も幸せでしょう?」
余りに雄弁な語り口に一瞬、理解が追いつかなかったが、とどのつまり八牛さんは、僕にメロンソーダをくれるらしい。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
にっこり。
均整のとれた八牛さんの顔が笑み色に揺らめく。
「それで……」
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