5人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
あれは、任務で病気の少女の魂を迎えに行った時の事だった。
「…、あなたは誰なの?」
普通、人間には天使の事は見えないのだが、死が近い者には天使が見えるらしい。
「俺は、お前を迎えにきた」
「天使、なの?」
「魂を迎えに来た悪魔だ」
「ふふふ、嘘ばっかり。私には、その翼は真っ白に見えますけど?」
「俺は、翼が真っ白な悪魔なんだ」
「そうなのですか。人間が想像した悪魔とは違っているんですね」
「そうみたいだな」
俺は、自分が天使だという事を隠したい訳ではなかった。
初めてあの少女を見たときに少女が見せた笑顔が俺は好きで、
あんな冗談を言ってたのかもしれない。
それから、俺は何日もあの少女と話をした。
少女は本当に病気なのかわからないくらいよく笑っていた。
しかし、着実に病気は彼女の体を蝕んできていて…
魂を送る日には、彼女は痩せ、もう意識もあまりなかった。
最初のコメントを投稿しよう!