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「さすが三聖の一人だな。お前の言う通り、この力は一点突破の能力だ」
一点突破。
能力の名称ではなく、ただの結果からつけられた呼び名だ。
魔力無効化系の能力は、干渉した瞬間に対象者の魔力を消し去る能力だ。
似てはいるが、レイの能力はそれではない。
触れた物質、魔法的要因、事象に至るまで防ぐことの出来ない貫通能力なのだ。
攻撃範囲自体は、魔力無効化系能力と比べれば狭い。
だが、反面確実に一点だけは突破出来る能力でもある。
ヴァンのように強固な鎧を纏った存在にとっては、まさに鬼門とも言える能力だろう。
(まずいですね…。一点突破の能力だとすれば、天空竜聖の防御はほぼ意味がない…。いや、私の持ちうる防御はこれが最大級です…)
「どうした?もう策は尽きたか?」
「さぁ、どうでしょうね」
「ならば、せめて魔王最後の能力だけでも見せてやろう。死ぬのはその後にしておけ」
再び優越感のこもった笑みを浮かび上がらせるレイ。
魔王の持ちうる最後の力。
魔槍。
一点突破を可能にする黒い魔力。
これだけでも厄介だというのに、更に手の内を出されてはヴァンにも勝機は薄れる。
「させませんよ!」
「いいや、もう術式は整っているよ。神召喚士」
冷たい声が、ヴァンの耳にしっかりと届く。
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