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強く言い放った瞬間、ヴァンの右半身に赤い光の線が無数に走る。
顔から首、右手にかけて赤い光の線がしっかりと浮かび上がっている。
「な、何だ?」
圧倒的優位な立場にいるはずのレイですら、その光景に目を細めている。
「この力は私には強大すぎるのでね。別の代償を付与してこの世に現界させるのですよ」
「別の代償だと?」
レイが聞き返すと、ヴァンの右半身を走る赤い光の線がさらに光を強める。
「私の命を半分、ね」
轟!!
赤い光が最大限の輝きを放った時、ヴァンの周囲を強い風が覆った。
強大すぎる覇気と魔力に世界そのものが揺れ、空気はビリビリと肌を刺す。
そして、ヴァンを起点に赤い光の閃光が真っ直ぐ天空を切り裂いた。
雲を切り裂き、巨大な穴が生まれる。
魔境邂逅の門にも似ている。
だが、ベルフェゴールとは異なり、ヴァンが放つ光はあまりにも強く、全ての闇を消し去るかのようだ。
「何だ!この光は!?」
天空に向けられて放たれた赤い一筋の光を見上げて叫ぶレイ。
「さぁ、これで最後です。魔境邂逅の門も、ベルフェゴールも、貴方も。全てを打ち砕いて私が勝つ!!」
大人しい言葉を選び続けていたヴァンが、強い明確な敵意を言葉に乗せて投げる。
更に、赤い光に包まれていた右腕を天空にかざす。
そして、神に通じしその名を力の限り叫んだ―――。
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