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「天空の業火イブリーフ!!」
轟!!!!
重たい音がおそらく世界中に響いたであろう。
更に、天空が燃えていた。
暗い雲は真っ赤な黄金の炎に包まれ、そしてヴァンが放った光の中からそれは姿を見せた。
大規模な召喚風景を描いた割に、姿を見せたのは人間大の女性だった。
純白のドレスを身に纏い、背中からは二枚の炎の翼を広げている。
金色の長い髪は風に揺れ、赤い瞳は炎のように吉良目ている。
『ヴァン・クレイアート。あれほど私を呼ぶなと申しつけましたのに…』
女性の召喚獣、イブリーフは透き通った声で悲しそうに呟く。
「すみません。もう、貴女に頼るしかなくなって」
しかし、反面ヴァンは優しい表情でイブリーフを見上げている。
このやり取りだけでも、互いの信頼関係が読み取れる。
イブリーフはヴァンを気遣い、ヴァンはイブリーフを信頼している。
これこそが、ヴァン・クレイアートが駆る最強の力。
「何が出てくるかと思えば、そのような小さな力でベルフェゴールに対抗しようと言うのか」
イブリーフを見た途端、ほくそ笑むレイ。
だが、その挑発にもヴァンとイブリーフは微動だにしなかった。
『無理をさせてまで私を呼んでくださったのです。せめて、確実な勝利を貴方に送ります』
「頼みます」
精一杯の笑顔をイブリーフに向け、ヴァンはその場に片膝をついた。
その姿は、自身の限界を表していた。
ヴァンが言った通り、イブリーフを突破されれば敗北を意味する。
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