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「よかろう。貴様の最大の力ならば、不足はない!!」
レイが叫んだ瞬間、それに反応するように、天空に浮かぶベルフェゴールの口元が光る。
だが。
ドォォォォォォン!!!!
イブリーフが細い腕を一薙ぎしただけで、ベルフェゴールの首元に見えない衝撃が直撃していた。
直撃点から煙が出ているところを見ると、衝撃波ではない。
『申し訳ありませんが、ヴァン様を苦しめたままにはしておけません。貴方がたには早急にご辞退願います』
優しい表情ではなく、強く敵意をむき出しにした瞳をベルフェゴールに向けるイブリーフ。
すると、イブリーフの姿が消える。
その姿は刹那の間にベルフェゴールの懐にあった。
近づけばその規模の違いに改めて気づかされる。
だが、大きさなどまるでものともしない力量をイブリーフは放っていた。
イブリーフが突き出した手の平がベルフェゴールの腹部にめりこむ。
ガァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!
明らかな苦痛の叫び声が天空に響き渡る。
『燃えなさい』
冷たい言葉とは裏腹に、打撃点から黄金の炎が爆発するように広がる。
巨大な爆音を更に天空に響かせる。
「なっ、バカな!!」
二者の戦闘を見上げていたレイが声を上げる。
最強であるはずのベルフェゴールが手も足も出ずに圧倒されているのだ。
もはやレイには驚く以外の行為が出来ない。
「…さすが、ですね」
また、離れた位置で片膝をついて見上げているヴァンも呟く。
だが、その表情はどれだけ繕っても苦痛に染まる。
魔力を消耗し切った上、命を削り取ってイブリーフを召喚したのだ。
今のヴァンは、呼吸をするだけでも苦痛になる。
死を選びたくなるほどの激痛が全身を走っている。
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