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「ベルフェゴール!何を戯れておる!!さっさと片付けんか!!」
怒気のこもった叫び声が天空のベルフェゴールに向けられる。
だが、ベルフェゴールの身体のあらゆるところでイブリーフが爆発をこめた打撃を次々に与えられている。
パワーだけではない。
圧倒的な速度までも有しているイブリーフ。
ベルフェゴールの実力がいかなものであろうと、イブリーフは更に上に立っていた。
純白のドレスを風に揺らし、燃える炎の翼を広げたイブリーフは妖艶そのものだった。
美しい反面、禍々しい姿のイブリーフを見上げ、レイは震える体を必死に抑えていた。
魔境邂逅の門から呼び出されるベルフェゴールは最強であるはずだ。
そう信じ、実際そうだった。
だが、今目の前にいる存在はベルフェゴールを圧倒している。
そして、ベルフェゴールを圧倒されたレイ・グレイバートになすすべはなかった。
カランカラン―――。
力尽きたように、レイの手から魔槍が落ちる。
その瞬間、魔境邂逅の門から姿を見せていたベルフェゴールが門の中に戻った。
それはレイの敗北、戦意喪失を意味していた。
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