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この勢力を持って三世界の安定を目指す。
しかし、現在魔界では安定からかけ離れた状況が始まろうとしていた―――。
魔界の最奧エリュシオン。
見渡す限りの荒野に、巨大な岩山。
大自然と言ってしまえば、それまでだが、その中には唯一違和感がそびえ立っている。
岩山の中にそびえ立つ巨大な城。
まるで城を建てるために、そこだけ平らにしたかのような空間だ。
そのため、城の周囲には覆うように巨大な岩山が残っている。
魔界の赤い空が、大自然に建つ城をより一層不気味に感じさせて仕方がない。
城内は広さの割に人がまるでいない。
いや、この表現は正しくないだろう。
人の気配がまるでない。
本当に誰かいるのか?
そう思わせる程に、城内には人の気配が微塵もなかった。
しかし、数え切れない程の部屋の一つに、城にいる全ての生命体が集まっていた。
「くく、聖が全宇宙の希望たる力を得て天界から戻ってきたか」
長身に、全身を黒く染めた服装。
青い瞳に黒い髪、そして整った顔立ちの男が冷たく呟いた。
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