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イブキが手をにぎにぎしながら、躊躇いがちに聞いてくる。
「どうしても、ですか?」
「え?」
「どうしても私に触れたいかと伺っているのです」
「もちろん!」
即答だった。
イブキは呆れ顔で、雅人に聞こえない程度に一人呟く。
「……そんな笑顔できっぱり言われたら、断るに断れないじゃないですか……」
「何か言いました?」
「なんでもありません」
そして、いつものクールな顔と声に戻して、早口でまくしたてた。
「……まあ、御主人様がどうしてもとおっしゃるのでしたら、それに従うまでです。私はメイドですから。ええ、顧客第一です。それ以上のことは何もありませんので、御主人様、邪推は無用ですよ」
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